錦陵の先達、みやこ町出身の葉山嘉樹(1894〜1945)は、日本の近代文学を代表する作家である。旧制豊津中から早大を中退し、「淫売婦」「セメント樽の中の手紙」「海に生くる人々」などで彗星のように文壇に登場した。なにしろ、全く無名の青年が、これらの作品でいきなり文壇の先端に躍り出たのだから、そのデビューは衝撃的だった。「格差社会」や「無縁社会」の諸問題が噴出する今、葉山文学が再び脚光を浴びている(三人の会編『葉山嘉樹・真実を語る文学』花乱社刊、参照)。
長男の葉山民樹氏=埼玉県蓮田市=は、3年前、みやこ町で行った講演で、「父は廻りの弱い立場の人々に共感しながら作品を書いた。自らを飾らぬ人間をよしとし、実践した。父の反権威、虚飾を嫌う精神は、少年時代に故郷豊津で培われたのだろう。」と語った。このように葉山嘉樹は、「質実剛健」という旧制豊津中の学風が育んだ作家であった。 |
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このほど、代表作「淫売婦」が映画化されることになり、先日、みやこ町で制作発表会が行われた。監督の児玉公広さんは、行橋市出身で京都高卒。これまで、企画・脚本・演出として様々な映像作品を手がけてきた。「みやこ町を中心に北九州一円でロケを行う。”みやこ”発の映画作品として地元の方々とともに創り上げることで、葉山文学の再評価を推し進めたい。」と抱負を語った。 |
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今、地元では「映画『淫売婦(仮)』を応援する会」(会長:井上幸春みやこ町町長、豊津高校昭和44年卒)が結成され、協力を呼びかけている。一口1,000円の協力金を寄せていただいた方は、映画のエンドロールへの氏名掲載等の特典がある。
問い合わせは、児玉公広監督(福岡市南区長住3−24−503、TEL090−1515−3227、e-mail:shiho@orange.ocn.ne.jp
)まで。 |
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